フランス映画「ピエロの赤い鼻」希望をくれた敵兵が教えてくれた、人間らしさとは。

あらすじ

田舎町に住む少年リュシアンは、毎週日曜にピエロに扮し皆を笑わせる父親ジャックを恥ずかしく思っていた。
ある日、ジャックの古い友人から、父親がピエロを演じ続ける理由を聞くことになる。
それは10年前、第二次大戦ドイツ占領下のフランスでの、悲しい出来事がきっかけであった。
ある一夜のレジスタンスから捕虜となったジャックと、その友人たち。明日、処刑されるかもしれない恐怖の中、希望を与えたのは、ナチスの敵兵のドイツ人だった。

作品情報

製作年:2003年
製作国:フランス
原題:Effroyables Jardins

キャスト・監督

監督:ジャン・ベッケル

出演:ジャック・ヴィルレ、アンドレ・デュゾリエ、ティエリー・レルミット、ブノワ・マジメル、シュザンヌ・フロン、イザベル・カンドリエ、


感想

フランス語の原題は「Effroyables Jardins」

Effroyablesという単語を聞いたことがなかったので、調べてみると、「とても恐ろしい、身の毛もよだつ」と出てきた。

なるほど、そのまま邦題にしてしまっては、映画を見る人がいなくなってしまう。「ピエロ」の、幸せそうだが悲しみを隠し戯けるイメージを、うまくタイトルに反映したもんだ、と感心。

戦争映画だ。戦争映画は、見る者の心を落ち込ませる。

しかし、この「ピエロの赤い鼻」という映画は、ずしんと重く心に残るが、希望や勇気も与えてくれる映画だった。

起承転結でいうならば、承、または、転、の部分は、ジャックが囚われ穴の中にいるシーンなので、ものすごく物語が派手に展開したという印象はない。

明日には処刑されてしまうかもしれない、4人のフランス人同士の会話。空腹、疲労、極限状態。その中での静かな会話。

そしてドイツ兵との交流。そこに生まれる、敵味方を超えた、人間としての心の通い合い。

実は映画を観る前、レビューなどを読んだ時には、このドイツ兵との交流がこの映画のメインコンテンツかと予想したが、(もちろんこの映画にとって最も重要なシーンではあるのだが)実際には、このドイツ兵とのシーンは映画の中で占める割合としては、思ったより短い。

つまり、この一つの事件に対し、それに関わった人々のキャラクターや、その人生、生きること、死ぬこと、それを超えた、その10年後、など、描いている範囲が広い。

そのため、確かに戦争映画ではあるのだが、戦争でなく「人間」を描いている印象が強く、大変観やすいと感じた。

出演者も、個人的には大好きな実力派俳優ばかりで、楽しめた。

シュザンヌ・フロンの演技には、心を打たれた。


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