もくじ
あらすじ
社会主義に両親が感化されてしまったせいで、質素な暮らしに突然変わった家庭に暮らす一人の少女。独裁政権のスペイン、チリ社会主義政権成立などを背景に、フランスの共産主義運動に参加する父親と、ウーマンリブ運動に参加する母親。
社会主義って何?誰のせいでパパとママはこんなふうになってしまったの?そんな葛藤をしながら日々生活する子どもの目線で、わかりやすくエモーショナルに政治の一面が描かれる。
題名の「フィデル」は指導者として1959年のキューバ革命で社会主義政権を成立させたフィデロ・カストロのこと。
(以下配給会社HPから引用)
1970年代、フランス。弁護士のパパ、雑誌記者のママ、そして可愛い弟に囲まれ、お嬢様学校に通う9才のアンナ。バカンスはボルドー、可愛いワンピースと上品な食事、大好きなものに囲まれ、素敵な毎日を送っていた。ところがある日、両親が共産主義を支持し始めたことで大きな変化が訪れた。宗教学は受けられなくなり、大きな家から小さなアパートに引っ越すことに。家にはヒゲのおじさんたちが入り浸り、ミッキーマウスは取り上げられてしまう・・・。いきなり訪れた新しい環境にアンナは不満爆発!キョーサン主義って何?元の生活に戻りたい!これって、“ぜんぶ、フィデルのせいなのね?”
仏頂面で、めいっぱい怒りをあらわにするアンナ。しかし、やがて自由や社会のことを彼女なりに考える
ようになり・・・。
(引用ここまで)
作品情報
公開年: | 2006年(フランス) |
---|---|
製作国: | フランス、イタリア |
原題: | La Faute à Fidel! |
キャスト・監督
監督:ジュリー・ガヴラス
出演:ニナ・ケルヴェル、ジュリー・ドパルデュー、ステファノ・アコルシ、バンジャマン・フイエ
感想
社会主義がテーマになっているというあらすじを読み、「ある程度難しい退屈な映画」を想像した上で、見始めましたが、良い意味で期待を裏切られました。
子ども目線で、というところがこの映画のポイントになっていて、あまり政治に詳しくない大人にとっても、非常に見やすくなっています。
社会主義が何なのか?という根本的な説明は差し置き、まず社会主義になると、「家の中の暮らしはどうなるか」が最初に映し出されます。
どんな生活になり、どんな服装になり、どんな心理状態になるのか。自分がその立場に置かれたら実際どうなる?という身近なことがわかるので、率直に、嫌だ、とか、貧乏だ、とか、子どもみたいな感情が湧きます。
滑稽に見える大人でも、実はこんな事情があって、とか、社会主義って、一見「怖い」感じにも見えるけど、そこに関わっている人たちの言っていることは一理ある点も、とか、政治を子ども目線で見られる、大人のための映画。
今日から社会主義になった両親、がメインで描かれているが、その両親の親、つまり主人公の子どもにとってはおばあちゃんは社会主義に感化されてはいないので、資本主義社会に生きる我々にとっては味方が存在するような安心感を感じた。資本主義側からの見方も優しい目線で描かれる。
映画全体は決して攻撃的ではなく、政治的なメッセージは強くない。政治よりも、「人」に焦点が当たっているような気がする。
原作はイタリアの女性作家、ドミティッラ・カラマイの Tutta Colpa di FIDEL。
原作では1968年から1970年までのローマが舞台となっているようですが、
映画では、1970年代のパリでの出来事に、自由選挙で成立した世界史上初の社会主義政権となったチリのアジェンデ大統領の選挙直前(1970年)からチリのクーデター(1973年)までをエピソードとして取り込んでいます。
映画クラスでフランス語を学ぼう
フランス人講師自らが、毎月、オススメ映画を選んでいます。
ハリウッド映画はたくさんあるけれど、フランス映画はレンタルDVD屋さんにも少ないし、そもそもどれが面白いのか、わからない・・・
そんな方にも、おもしろいフランス映画を知るよい機会だと好評です。
映画の中のシーンで、ナチュラルな会話のセリフから、実践的なフランス語を、楽しみながら学べる映画クラス。
定員4名までの少人数制の教室です。
体験レッスンもございます。