もくじ
ワイン用語からフランス語を学ぶ
ワインはフランス語で
Le Vin
ル ヴァン
と言います。ワイン好きがきっかけでフランス語を学び始めたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、ワイン関連の単語や、フレーズ、ワインを描いたフランス映画など、ワイン初心者でも楽しめるフランス語とワイン情報をたっぷり載せたいと思います!
ワイン単語集【基礎編】
ワインの基本的な種類
Vin rouge(赤ワイン)
ヴァン るージュ
Vin blanc(白ワイン)
ヴァン ブロン
Vin rosé(ロゼ)
ヴァン ろゼ
Vin mousseux
ヴァン ムセウー
( スパークリングワイン)
vin pétillant
ヴァン ペティヨン
( スパークリングワイン)
champagne
シャンパーニュ(シャンパン)
1ボトルの赤ワイン
Une bouteille du vin rouge
ウヌ ブテイユ ドゥ ヴァン るージュ
2ボトルの白ワイン
Deux bouteilles du vin blanc
ドゥー ブテイユ ドゥ ヴァン ブロン
グラス1杯のロゼワイン
Un verre du vin rosé
アン ヴェーる ド ヴァン ろゼ
ワインの味の表現/言葉
Vin sec
ヴァン セック(辛口ワイン)
Vin doux
ヴァン ドゥー(甘口ワイン)
Léger
レジェ(軽い)
Puissant
プイッソン(力強い)
Fruité
フるュイテ(フルーティ)
épicé
エピセ(スパイシー)
Souple
スープル (柔らかい)
Velouté
ヴルテ (まろやかな)
※ビロードのような・・・
Rondeur
ろンドゥール (丸み)
ワイン用語バリエーション【試飲/地酒/食前酒etc】
Sommelier
ソムリエ
Apéritif
アペリティフ(食前酒)
※フランス人は、この
apéritif を略して、apéro (アペろ)とよく言いますよ!
dégustation
デギュスタスィオン(試飲・テイスティング)
vin de pays
ヴァン ド ペイ (地酒)
Grand vin
グらン ヴァン(有名なワイン)
Région
レジオン(産地・地域)
ブドウを摘む
faire les vendanges
フェーる レ ヴァンダーンジュ
ワイン単語集【中級編】
味だけではなく、産地や年代についての用語です。
テロワール(地味)
Terroir
それぞれのワイン産地の土壌や気候からくる味わいのこと。地域の個性。産地特有の味。
このワインにはこの地域のテロワールをよく感じられる
On sent bien le terroir dans ce vin.
オン ソン ビアン ル テろワーる ダン ス ヴァン
フランスのワインは、このテロワールを重視する傾向があり、ラベルには土地の名前が記載されています。
逆に、ワイン生産の歴史が浅い国は「新世界」と呼ばれ、チリ、アメリカ、オーストラリアなどで、ブドウの品種をラベルに記載することが多い傾向があるそうです。
ヴィンテージ
vintage
ワインが収穫された年のこと。
上記は英語で、ワイン以外でも馴染みのある言葉ですが、語源はフランス語の
vendange
ヴァンダーンジュ
です。これはフランス語では「ブドウの収穫」という意味合いになります。年代物のワインについては、
Vin vieux
年代物のワイン
と言います。
ワインは、その年に取られた葡萄を決められた割合以上使ってワインを造ると、収穫年を表記することができます。(EUなどでは85%以上、アメリカでは95%以上、など国により規定があります。)
古ければ良いというものではなく、あたり年、ハズレ年、があります。ブドウは植物なので、当然ワインの味はその年の天候などに左右されるのです。
ヴィンテージに対し、
ノン・ヴィンテージ
とは、ヴィンテージ表記がされていない、という意味です。
例えばフランスの北部では気候が安定しないことも多く、ワインの質を安定させる目的で、複数の年のワインを使用することがあります。
シャンパンの8割は、ノンヴィンテージになるとのことです。
エチケット
étiquette
ワインのボトルに貼られているラベルのことです。
フランス語では、ワイン以外の食品や品物のラベルのことを全てエチケットと言います。
シャトー
Château
「城」というフランス語。ワインの生産者名や、ワインのブランド名にも使用されることが多いです。
ブドウ園、ブドウ畑は、
Vignoble
ヴィニョーブル
です。シャンソンや、子供のためのフランスの童謡などでも、ヴィニョーブル、という言葉がよく出てきたりします。
有名なワイン用ブドウの品種の名前
聞いたことのある名前だけを集めました。
ブドウの種類のことは、
Cépage
セパージュ
と言います。
カベルネ・ソーヴィニヨン
Cabernet Sauvignon
フランスボルドー地方原産のぶどうの品種。世界で最も広く栽培されています。世界中で高品質な赤ワインを産んでいます。
世界中に広まった理由としては、果皮が厚い、耐寒性が強い、など栽培上の理由のみならず、品種特有の個性が現れることなども挙げられます。牛肉料理に合う。
ピノ・ノワール
Pinot noir
ブルゴーニュ原産で、世界で一番高いワインを生み出す品種。
栽培が非常に難しく、かつてはブルゴーニュ以外での栽培は出来ない、とされていました。
ピノ・ノワールは大概の場合ミディアムボディのワインになり、熟成の段階が一様でなかったり予測が困難であったりするとのこと。
ピノ・ノワールから作られたワインは、年月が浅いうちはチェリーやラズベリーといった赤い果実のアロマを帯びる傾向に、年月を経るにつれ、ワインに複雑さを与える要因となる、野菜的なアロマを生み出す力をもつそうです。
参照:wikipedia
有名な高級ワインの名前
見たことも飲んだこともありませんが・・・
ドンペリ
Dom Pérignon
シャンパンの一つ。葡萄の出来が良い年にしか作らないシャンパーニュ。フランスのモエ・エ・シャンドン社(Moët et Chandon)によって生産される。ドン・ペリニヨンという銘柄名は、シャンパーニュを発明したと言われる修道士の名前に由来。
シャルドネ
Chardonnay
白ワインの品種の女王と言われている。発祥はブルゴーニュで、果皮が緑色の種付きブドウ。
参照:wikipedia
ロマネ・コンティ
Romanée-conti
ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村にあるピノ・ノワール種の特級畑(グラン・クリュ)の名前。
その畑のブドウから造られる赤ワインの名前でもあります。
ワイン/フランス語会話
どんな種類の味が好きですか?
Quel genre de goût est-ce que vous aimez ?
ケル ジョンる ド グ エス ク ヴ ゼメ
軽めの赤ワインが好きです。
J’aime les vins rouges légers.
ジェム レ ヴァン るージュ レジェ
フランス映画からワインを知る
ワインについて、映画を楽しみながら知る!
映画=フィクションではありますが、ワインづくりの過程を丁寧に描いていたり、ワイナリーの存続に関わる葛藤、ワインのグローバル化など、社会的な視点から描いていたりと、学びが多くあります。
ワイン初心者でも楽しめる、ワインを巡る人間ドラマ
「おかえり、ブルゴーニュへ」
あらすじ・ストーリー
フランス・ブルゴーニュ地方のワイナリーを舞台に、ワイン醸造家だった父親の死をきっかけに10年ぶりに再会した兄妹達が描かれる。
フランス・ブルゴーニュ地方のワイン生産者=ドメーヌの家の長男として生まれ育ったジャンは、世界を旅するため故郷を飛び出したが、父親が末期の状態であることを知り、10年ぶりに故郷ブルゴーニュへ戻ってくる。
家業を継ぎ、ワイン作りに励む妹のジュリエット、そして別のドメーヌの婿養子となった弟のジェレミーと兄弟3人の久しぶりの再会を果たすが、間もなく父親が亡くなってしまう。
残された葡萄畑や相続などさまざまな課題に直面する中、父親が亡くなってから最初の葡萄の収穫時期を迎え、兄弟たちは自分たちなりのワインを作るため協力し合う。
その一方で、長男は離婚問題、長女は醸造家としての方向性、次男は義父問題と、それぞれが打ち明けづらい悩みや問題を抱えていた。
作品情報
製作年: | 2017年 |
---|---|
製作国: | フランス |
原題: | Ce qui nous lie/Back to Burgundy |
キャスト・監督
監督:セドリック・クラピッシュ、
出演:ピオ・マルマイ、アナ・ジラルド、フランソワ・シヴィル
映画のおすすめポイント
ぶどうの収穫の場面は、本やテキストで読み知っている方も多いと思いますが、しっかりと映像で見ると、ああこういう事か、としっかり理解できます。
本作は、実際に1年間に渡るワイン製造を追いかけながら撮影されたそうです。
作業の様子を撮ることができるのは、1年でわずか数日。
この映画のクラピッシュ監督は「いつ始まるかわからないこの作業を撮影するため、まずは役者のスケジュールを1年間確保、しかも撮影スケジュールが決められないため、映画全体が大混乱だった」と述べています。
1年間、俳優のスケジュールを抑えるとは、この映画の相当なこだわりを感じます。
興味深いシーンはいくつかあるのですが、まずは農園の規模の大きさ、ワインの収穫に集まる人々のシーン。
収穫後のパーティー、ワインを皆で飲んだ後に、夜中まで続くダンス・・・と、いかにも南フランスらしいラテンな盛り上がり。
この辺りは、ワイン初心者でも、単純な驚きと、ワクワク感を持って鑑賞できます。
そして、この映画の見所は、ワイナリーを継ぐことになった、3兄妹それぞれの人生のドラマ。農家ならではの悩みや葛藤と、自分の生き方や主張を寄り添わせていく姿は、ワインに縁がない者にも共感させる何かがあります。
そして、ワインの味の作られ方。
ワイン生産者の舌、経験からの判断、センスなど、一つ一つの積み重ねで決まるのだという事が、主張しすぎることなく描かれています。この辺りは、ワインにそこそこ詳しい方にもグッとくる面白い点なのではと思います。
ところで、当教室の「フランス文化クラス」では「フランス人とアルコール」というテーマでレッスンをしたことがあります。
「昔は、フランスでは子どもの頃からワインを飲んでいた」
という内容を読み、大変びっくりしましたが、この映画をみて、その理由の一面を理解できました。
農家の家では、ワインを子どもに味見させて、自分の舌や脳みそで、香りや味、色など、見分ける感覚を子どもの頃から養うという、そういった文化があったのです。
この映画は、ワインづくりが丁寧に描かれているのみでなく、人間に焦点を当てているところが、初心者でも楽しめるワイン映画としておすすめです。
ワイン上級者向け。ワインの今を描いたドキュメンタリー映画
「モンドヴィーノ」
この映画は、気まぐれで観まして、ワインに特別な興味がない私は、ああ、ドキュメンタリーか・・・と最初は料理などしながら横目で眺めていたのですが、ワインをめぐる人々の戦いの様子に、次第に目が離せなくなって行きました。
まずは、フランスのボルドー地方の取材から始まります。
ワインコンサルタントのミシェル・ロランが、自分がアドバイスをしている農家を多忙な中で訪ね、ワイン醸造への指示を出すシーン。
ミシェル・ロランは12か国以上でワインを作り、そのほとんどが有名なワイナリーだ。運転手付きの車でいくつもの農家を訪ねます。
彼は実業家風、金持ち、やり手、という風貌。伝統的なワインづくりとはイメージがかけ離れています。そこが、なんとなく引っかかる点であり、まさにこれから始まる問題提起を匂わせる感があります。
次のシーンは、エメ・ギベール。
ラングドック地方の有名なワイン農園「ドマ・ガザック」の所有者。
伝統的な、自然が全てを決めるワインづくりを大事にしており、ワインのグローバル化には反対。
「わずか1%のワインが世界を超える」「ワインづくりは詩人の仕事」と、自然主義のエメ・ギベール氏。
それに対し、いくつものワイン農家を多忙の中でも渡り歩き、
「良質のワインを “人工的に” 生み出すこと」を仕事にしている、ミシェル・ロラン氏。
もしこの記事を読んでくれている貴方がこの映画を見たなら、どちらに感情移入するだろうか?
ワインを飲む側としては、
「美味しいワインがたくさん “人工的に” 作られれば、手の届く価格で美味しいワインが味わえる」ので、嬉しいという反面、
「伝統的な、自然に任せ偶然に美味しくできたワインこそが、貴重なワインとして出回って欲しい、それがワインのブランドの価値だ」
という考え方にも共感できる・・・
この映画は、どちらを悪として描くのではなく、事実をなるべくたくさんの要素や土地柄、人生、考え方から紹介してゆくスタイルなので、ぜひ映画を見て、考えてみて欲しいのです。
映画は、ワインを巡る企業や、実業家、村、人間にフォーカスをあててゆきます。
やや「ワインのことを知っている」方向けの映画かもしれません。
ただ、私のようにワインに特に深い知識のない人間でも、フランスのワインの未来について、もう少し知りたいと思うきっかけになる映画でした。
モンダヴィ事件
「モンドヴィーノ 」で描かれている、ワインに関する世界的な事件。
地域のワインづくりを大事にしているフランスの南西部のアニアーヌ村に、アメリカの企業モンダヴィが、進出しようとし、失敗に終わった出来事のこと。
フランスのワインづくりの地域主義と、アメリカ流のワインのグローバリゼーションの対立で、これを書いた本なども出版されているくらい有名な事件です。
ワイン生産地として長い歴史があり、高品質ワイン生産の高い潜在力を持つラングドック地方。そのまだ使用されていない土地を、アメリカの企業モンダヴィが開拓しようとし、村と交渉。
当初、アニアーヌ村のアンドレ・ルイーズ村長は好意的でした。企業の進出は、村に富をもたらすと考えたのです。
しかし、モンダヴィ進出により、周辺のブドウがすべて買い占められてしまい、地元のワイン生産者ブドウを確保できなくなり、地元の産業が衰退するのではないかと言う懸念などから、村には反対派もいました。
そして、現村長アンドレ・ルイーズと反対派マニュエル・ディアズの一騎討ちの選挙で、村人は反対派のマニュエル・ディアズを選んだのです。
ワインのグローバル化
ワインづくりにおいて、長い歴史を持つフランスに対し、まだ歴史の浅いアメリカは、ワインづくりは伝統ではなく、ビジネスであるという視点を持っている傾向にあるようです。
「カリフォルニアのワインには地味(テロワール)がないから、点数をつけて、評価をしてもらい、売り出す」
有名な批評雑誌の登場などにより、批評家に良い点数をつけてもらい、ワインを有名にするビジネスとなっているのではないか、という見方もあります。
ドキュメンタリー映画「モンドヴィーノ」の中でも、
「アメリカの批評家はワイン業界と結託してる」と指摘するインタビュアーに対し、
「宣伝とはそういうことだ、それは商売だからね」と当然のように認めている批評家も登場する。
ワイン批評家が主人公なのでワイン用語盛り沢山
「ブルゴーニュで会いましょう」
あらすじ・ストーリー
ブルゴーニュ地方で生まれ育ったシャリルは20歳で故郷を離れ、高名なワイン評論家となっていた。ある日、彼は父の営むワイナリーが買収寸前と知り、久々に実家に戻るが…。
作品情報
製作年: | 2015年 |
---|---|
製作国: | フランス |
原題: | Premiers crus |
キャスト・監督
監督:ジェローム・ル・メール
出演:ジェラール・ランヴァン、ジャリル・レスペール、アリス・タグリオーニ
感想
そこそこ有名なワイン批評家の男性が主人公の設定。
ワイン用語がとにかくたくさん出てくるので、ワインについてフランス語で語ってみたい方は、この映画のフレーズは使えるかもしれません。
また、ワイン初心者の方も、フランス語学習者としては、フランス文化を知るひとつの方法として見ておきたい映画です。
ところで、ブルゴーニュ、というタイトルのつく映画は、フランス映画によくあります。先ほど紹介したばかりの、「おかえり、ブルゴーニュへ」と、混同しそうなタイトルです。
日本人にわかりやすい、美しい田舎のイメージがあるので邦題によく使われているのだろうと思います。
こちらの「ブルゴーニュであいましょう」も、父親と息子の対立や、ワイン農家の後継問題、お金の問題など、良いワインを作り続けることの難しさが描かれます。
一つの目標に向かって進んでゆくストーリーは、ワインづくりのみならず、全てのビジネスにおいて共通する学びがあり、勇気を与えてくれます。
ワインで学ぶフランス語と、楽しみながらワインへの理解を深めるフランス映画の紹介でした。いかがでしたか?
自分の好きなことを深めてゆきながら、フランス語学習をしてゆきたいですね!