フランス映画おすすめ【フランスの歴史・実在の人物】世界大戦・冷戦時代のフランスを背景にした映画特集

フランスの歴史に関する映画で、第二次世界大戦、冷戦時代〜現代までの歴史背景が描かれているものを集めました。実在の人物を基にした映画、史実を忠実に再現した映画や、フィクションでも当時の歴史背景が映画から読み取れるような内容になっているものまで、様々です。

フランスの歴史に関する映画と、その歴史背景を、ポイントとして紹介していきます。フランス映画好きでフランスの歴史に興味のある方はぜひご覧下さい。


第二次世界大戦ごろのフランスを描いたフランス映画と歴史背景

歴史背景:1939年に第二次世界大戦が開始されるとフランスはドイツに国土の大半を占領される。ヴィシーに対独協力内閣が成立。国内のレジスタンスとともにド=ゴールの亡命政権が抵抗を指導、1944年8月にパリを解放した。

パリよ、永遠に

パリ解放前夜の歴史的瞬間を描いた会話劇

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ヒトラーがパリ破壊工作をする寸前だったという史実。

会話劇なので動きは少なく、同じ部屋での会話がメインになりますが、歴史の分岐点であるこの一夜の駆け引きにドキドキハラハラして、あっという間に最後まで観れてしまいました。

第二次世界大戦の終わり頃。ドイツ人の将軍も自分の国が敗戦するだろう事はわかっており、ヒトラーへの尊敬の念はもう消え、愚かな命令だと認識しながらも、家族を人質に取られ、大変複雑な立場で決断をしなければならない状況での、心理戦。

パリが破壊されようとしていたとは、これはフランスや世界にとって大変重要な史実です。

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ヴィシー政府とは?

第二次世界大戦中のフランス政府の名前です。1940年ドイツに降伏したフランスで、中部の都市ヴィシーに成立した政府で、ドイツに協力することによってフランスの存続を図ろうとしました。

第一次世界大戦に活躍したペタン元帥を国家元首とし、ファシズム体制を敷きました。正統なフランス政府としてアメリカ、ソ連など多数の国に承認されましたが、シャルル・ド=ゴールなどドイツに抵抗して亡命した勢力を受け入れたイギリスはヴィシー政府を承認しませんでした。

当時は、フランスの国土の5分の3はドイツに占領されていました。また、政治、経済、外交、文化などあらゆる面で対独協力を義務づけられていました。


バティニョールおじさん

ドイツに迎合していたフランス

1942年、ナチス占領下のパリ。ドイツ軍はユダヤ人検挙の協力をフランス国民に要求していた。

肉屋を営むバティニョールは、ナチス支持者の娘婿が隣家のユダヤ人、バーンスタイン一家を密告したことから図らずもナチスに協力してしまう。

「バティニョールおじさん」に関しては、実在の人物や史実を描いた映画ではありませんが、ドイツ占領下のフランスの不自由さや、緊迫感を感じ取れます。
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ユダヤ人狩りに協力するなどドイツに迎合していた第二次世界大戦下のフランス

ヴィシー政府のペタン元帥は「ユダヤ人狩り」を行うなどナチス=ドイツに迎合する面が強く、また占領区の男性はドイツの労働力の不足を補うものとして動員されました。

ペタンは84歳で第一次世界大戦の英雄だったそうですが、保守以外にこれといった政治理念はなく、ヴィシー政府も人民戦線に反対した人々やファシスト、反共主義者、カトリック教徒など雑多な集まりに過ぎなかったと言われています。

次に紹介する「サラの鍵」も、ノンフィクションではありませんが、実際のフランスでの出来事が描かれています。

サラの鍵
(Elle s’appelait Sarah)

ユダヤ人迫害の歴史。複雑なフランスの立場を描いた映画

ナチス占領下のパリ。ユダヤ人一斉検挙によってヴェルディヴに連れてこられた少女サラ。それから60年後。パリに暮らすアメリカ人ジャーナリストのジュリアは、アウシュヴィッツに送られた家族を取材するうちに、かつて自分のアパートで起こった悲劇を知る。サラの鍵詳細ページへ

幸せはシャンソニア劇場から
faubourg 36

戦争前の不穏な情勢の中で、必死に生きる人々を描いた映画

1936年ごろのパリを舞台にしています。第二次世界大戦が始まる前の、不穏な空気感が描かれています。

こちら劇場が舞台なので、ミュージカルのような映画にも思えますが、戦争、政治闘争、親子関係、恋愛・・・など、様々な要素がものすごく散りばめられており、良い意味でミュージカル映画だと一言で言えない感があります。

シリアスな歴史映画ではありませんが、当時のフランスの空気感を伺える映画です。

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第二次世界大戦の終わり:ヴィシー政府の崩壊

1944年6月、連合軍がノルマンディに上陸し、8月25日にパリが解放され、ドイツ軍が撤退しヴィシー政府は解体。

それより前の44年5月に臨時政府首班となったシャルル・ド=ゴールは、9月9日にパリに帰還。ヴィシー政府要人は特別高等裁判所で裁かれ、首相のラヴァルと国家主席ペタンは死刑判決。ラヴァルは刑が執行され、ペタンは高齢を理由に終身刑に減刑された後、獄死した。


戦後〜冷戦時代、フランスの現代史がポイントでわかるフランスの歴史映画【20世紀後半】

歴史背景:第二次世界大戦でドイツが敗北し、翌46年総選挙(フランスで始めて婦人参政権を行使)を実施しド=ゴールを首相とする連立政権が成立。(1946年10月第四共和政)しかし社共と対立したド=ゴールが辞職、その後政情不安が続く中、インドシナ、アルジェリアの植民地独立戦争が激化し、1958年にド=ゴールが首相復帰、憲法を改正して第五共和政となる。

最初の人間
le premier homme

フランスの小説家カミュの人生とアルジェリアへの思い

「『最初の人間』はアルジェリア生まれのフランス人とその子孫にとって、まさに現在、熱狂的に支持される小説である。」―R.Laffont辞典より 

アルベール・カミュはフランスの小説家。1960年に、この映画の元となった「最初の人間」未完の原稿を残し、自動車事故のため46歳の若さで亡くなりました。

こちらの映画はアルベール・カミュの自伝のようなストーリー。カミュは1913年11月7日、アルジェリアに生まれたので、アルジェリア戦争の頃にはもう大人であり、有名人でした。

カミュがアルジェリアで過ごした、貧しいけれど祖母や両親との思い出の詰まった少年時代と、戦後アルジェリア戦争が勃発し、揺れるフランスが描かれている。

カミュの、母親や家族への愛情が主線であると思いますが、常にアルジェリアの歴史が隣に流れているような印象で、私はこちらの映画を観て、アルジェリアの歴史に興味を持ちました。

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アルジェリア戦争と英雄シャルル・ド・ゴール

1954年に激化したアルジェリアのフランスからの独立戦争。

アルジェリアは、1830年以来、フランス領でした。第二次世界大戦後に独立運動が激化し、1948年に民族解放戦線(FLN)が結成され、1954年に武装蜂起しました。

アルジェリア住民は、フランス系の入植者である白人(コロンと呼ばれる)とフランス軍を相手に激しい独立戦争を開始しました。フランス本国政府は1957年1月空挺部隊を送り込んでアルジェを制圧し、大規模なゲリラ掃討作戦を展開し、運動を抑えつけました。

アルジェリア戦争はフランスの国内的危機にまでなり、この状態をコントロールできなくなったフランスの政府が倒れ、国民大衆からは国家の危機を救うであろうと期待されたシャルル・ド・ゴールが復活しました。

ド=ゴールは現地軍の反乱を抑え、1960年にはアルジェリアの独立の可否を国民投票にかけ、賛成多数の支持を受けて解放戦線(FLN)との交渉を開始し、62年独立戦争の和平を実現させました。

フェアウェル さらば悲しみのスパイ

ソビエト連邦を崩壊させたきっかけの一つともいわれる実在のスパイ事件“フェアウェル事件”を映画化したヒューマン・サスペンス。モデルはウラジミール・ヴェトロフ

1980年代初頭、KGBの幹部グリゴリエフ大佐は家電メーカーのフランス人技師ピエール(ギョーム・カネ)に重要な情報を渡し、二人の交流が始まってゆく。

80年代初頭のモスクワで起こったKGBの大物スパイによる極秘情報漏洩事件を、レーガン米大統領やミッテラン仏大統領、そしてゴルバチョフ書記長など、当時の各国首脳を登場させ、実話に基づいた重厚なリアリティで、緊迫感たっぷりに描いた作品。

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フランソワ・ミッテラン

大統領は、シャルル・ド・ゴール後は、アラン・ポエール、ジョルジュ・ポンピドゥー、再びアラン・ポエール、ジスカール・デスタン、そしてミッテランとなる。

ミッテランは1981年の大統領選挙でジスカール・デスタンに勝利、第21代大統領に就任。有給休暇の拡大、法定労働時間の削減、ラジオおよびテレビの自由化、大学入試の廃止、死刑制度の公式廃止を行う。

ドイツのコール首相とともにユーロの創設の指導をしたり、1985年には加盟国間で国境検査無しで国境を越えて移動できるシェンゲン協定を採択している。

次に紹介する「裏切りの戦場 葬られた誓い」の中では、フランソワ・ミッテランが大統領選に向け、候補者ジャック・シラクと討論する姿が描かれています。

裏切りの戦場 葬られた誓い

ニューカレドニアとフランス。知られざる真相

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1988年にフランス領ニューカレドニアで独立を巡って現地過激派グループとフランス治安当局が衝突した。

この映画は、フランス政府が未だ認めていない事件の真相を、当時フランス側の交渉役として現場に身を置いたフィリップ・ルゴルジュ大尉の告発手記を基に、マチュー・カソヴィッツが監督・主演で完全映画化した衝撃のドラマ。

フランス大統領選を控えた1988年4月。フランス領ニューカレドニアのウベア島でカナック族の独立派グループがフランス憲兵隊宿舎を襲撃、警官4名が死亡し、30名が誘拐される事件が発生する。

国家憲兵隊治安部隊のリーダー、フィリップ・ルゴルジュ大尉は交渉人として部下50名とともに現地に飛ぶが…。

2019年のフランス映画「ディリリとパリの時間旅行」では、カナックの女の子が主人公でした。カナック族が、パリの博覧会に連れてこられ、「展示」されている様子が冒頭にあります。この「カナック族の展示」自体は、ディリリの映画のストーリーのメインコンテンツになっているわけではありませんが、カナック族について調べましたら、このパリの博覧会では「生肉を食べる人間」などとしてカナック族が紹介され、実際に食べさせられていたとの事で、ショックを受けました。

カナック族とフランスとの諍いは終わったわけではなく、2020年にはニューカレドニア独立についての国民投票があります。

製作年:2011年
製作国:フランス
原題:L’ORDRE ET LA MORALE/REBELLION

監督:マチュー・カソヴィッツ

出演:マチュー・カソヴィッツ、マリック・ジディ

神々と男たち

現代においても未だ解決していない宗教問題を描いた映画

「バスの中で孫が殺された。ヘジャブをしてなかったからだ。」アルジェリアで起きた武装イスラム集団によるフランス人修道士誘拐・殺害事件を完全映画化した衝撃と感動のヒューマン・ドラマ。

内戦が激化し、死の危険が迫る中、それでもなお現地にとどまることを決断するに至った7人の修道士の揺れ動く心の軌跡を綴る。

1990年代のアルジェリア。山あいの小さな村では、カトリック修道士たちがイスラム教徒の地元民とも良好な関係を築きながら、質素にして穏やかな共同生活を送っていた。そんな中、内戦が激しさを増し、彼らの周辺でもイスラム過激派グループのテロによる犠牲者が出始める。

1996年の事件。歴史上の史実でなく、最近の出来事と言えるでしょうか。

ニュースになっている、宗教問題や、テロの問題と深くつながりのある映画です。

製作年:2010年
製作国:フランス
原題:DES HOMMES ET DES DIEUX/OF GODS AND MEN
受賞記録:2010年 カンヌ国際映画祭 審査員特別グランプリ


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いかがでしたか?映画の内容が、実際に歴史上で起こった出来事なのだと思うと、感じるものも深くなります。フランスをもっとよく知るためのきっかけになりますね。

参考:世界史の窓https://www.y-history.net/appendix/wh0601-090.html

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