フランス語教室のスタッフが、自ら鑑賞し、おすすめできると思ったものを紹介します。
フランス映画といえば、ヌーヴェルヴァーグ?文芸作品?
「フランス映画って難しいイメージ・・・」
いえ、そんなことはありません。フランス人はコメディ映画好きで、フランス映画の興行収入ランキングではコメディ映画がトップを占めています。
ファンタジックな映画もオススメです。日本人とは一味違う、フランス独特な世界観に魅了されます。
フランス映画をいくつか見ていると、結末がぼんやりした作品にたびたび出逢います。特にサスペンス映画などです。フランス人は、映画の結末について討論するのも好きだそうで、あえて結末を提示しない映画も、フランス人にとっては良い議論のテーマとなるそうです。
このページでは、フランス映画をあまり見たことがない方でも楽しめる、比較的新しめな作品を紹介します。日本で2000年代に公開された新しめの作品は、とても見やすいものが多いですよ。
もくじ
まずは定番!おすすめフランス映画
タイピスト
Populaire
フランス映画初心者さんで、女性の方にオススメなのが、この映画。
50~60年代のファッション、パリの風景など、クラシックカーなど、フランスっぽいものが散りばめられていて、見ているだけでワクワクします。
しかし、見た目だけじゃないのがこの映画のポイント。
ジャンルとしては、「スポ根ラブコメ」と紹介されているこの映画は、田舎出身の女の子が、秘書に抜擢され、タイピングのコンテストで世界一を目指す、というストーリー。
単純に何かにひたむきになって進んでゆく主人公の姿には、元気と勇気をもらいます。
わかりやすいストーリーで、見た後にはスカッとした気分になれる爽やかな映画。
フランス映画祭で観客賞を獲得しました。
おかえり、ブルゴーニュへ
Ce qui nous lie
ワインが好きで、フランス映画にも興味を持った方には、こちらの映画がオススメです。
ワイン用語、ワインの収穫のシーン、試飲のシーンなど、盛りだくさん。実際のワインづくりの工程に密着しながら撮影されたという力作。
父と子、兄弟、夫婦、人生・・・
映画の中では、ワイン作りに関わる人間の人生が描かれます。
人生の節目に、じっくりと一人で見るのにちょうど良い、人間ドラマの詰まった映画でもあります。
ワイン農家の苦労も描かれています。この映画を観た後は、ますますワインが大好きになるかもしれません。
昔は、フランスでは子どもの頃からワインを飲む、という話を聞いたことがありませんか?
日本人にとっては「子どもがワイン?!とんでもない」とびっくりしてしまいます。しかし私はこの映画を観て、フランスのワイン農家にとっては、子どもの頃からワインの味に親しむことはごく自然なことなのだと理解できました。
あらすじ
フランス・ブルゴーニュ地方のワイン生産者=ドメーヌの家の長男として生まれ育ったジャンは、父親が末期の状態であることを知り、10年ぶりに故郷ブルゴーニュへ戻ってくる。おかえり、ブルゴーニュへ詳細ページへ
しあわせの雨傘
POTICHE
「フランス映画といえば、カトリーヌ・ドヌーヴ。でも、昔の時代の映画は、なんか退屈に感じるものが多いのよね」
と思っている方にオススメしたいこの映画。
若き日の美しい煌びやかなカトリーヌ・ドヌーヴではなく(もちろん今現在も美しいですが)おばさんになったドヌーヴが、ジャージ姿で登場します。
カトリーヌ・ドヌーヴじゃなかったら、この物語が与えてくれるパワーが半減していたと思えるほど、存在感が素晴らしいのです。
とにかく元気になりたい時におすすめな、とてもパワフルな映画です。
あらすじ
カトリーヌ・ドヌーヴが衝撃的なジャージ姿を披露したハートフルコメディ。
ブルジョア主婦・スザンヌは、優雅な生活を送っていた。そんな折、雨傘工場を経営する夫が病に倒れ、工場の運営を任される。
女性が社会的に活躍しやすい風潮になる前の時代の、サクセスストーリー。
フランス流コメディで大笑い
最高の花婿
フランスでも大ヒットし、話題になったこの映画は、国際結婚、人権、差別、など難しい要素が盛りだくさん。
にもかかわらず、コメディとして笑いながら楽しめるという、なんとも貴重な存在。
フランス映画初心者でもわかりやすく、またフランスそのもののお国柄も垣間見れる。
フランス人が、他の人種をどのように見ているのか?フランス以外の国にとって、フランスとはどのような存在なのか?
こういった映画は、日本にはまずないでしょう。まさにフランスならではです。
あらすじ
自分たちは敬虔なカトリック教徒なのに、4人の娘たちの婿は、ユダヤ人、アラブ人、中国人、そして、コートジボワール人。色とりどりの家族に愛と平和は訪れるのか?文化やの違いを、ユーモアを交えながら描く
続編である「最高の花婿 アンコール」も公開されましたが、まだ1をみたことの無い方はぜひ1から見ることをおすすめ。
最高の花婿の詳細ページへ
シンク・オア・スイム
Le Grand Bain
本国フランスで動員400万人突破の大ヒットを記録。「ウォーターボーイズ」のおじさんバージョンとも言える。
見ている側が脱力するほど、時にはかわいそうになるほど、冴えない人生を生きている中年たち。そのおじさんたちが、シンクロに真剣に取り組む物語。
でも実は、このおじさんたち、フランスの誇るベテラン俳優たちなのです。
昔の時代のドタバタコメディと違い、笑えるところもありながら、それぞれの人間の深みをしっかり描いているところが、現代に生きる私たちにとっては見やすい点でもあります。
あらすじ
人生の折り返し地点を過ぎ、家庭、仕事、将来 etc で生き悩む8人のおじさんたちが、プールを舞台にイチかバチかの再起に挑む姿を描いたヒューマンドラマ。
家族で見たい。癒しのフランス映画
プロヴァンスの休日
Avis de mistral
日本でも有名なジャンレノ。
「レオン」でのイタリア系の殺し屋の役の印象が強い方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらの映画は、ジャンレノがおじいちゃん役です。
プロヴァンスの風景に癒されたい方にも、オススメなこの映画。フランスの田舎に、バカンスに行ってみたくなります。
あらすじ
会ったことのない祖父に会うため、プロヴァンスを訪れた3兄弟。
祖父は頑固で気難しい人だったが、孫たちと夏を過ごすうちに笑顔と優しさを取り戻していく。ジャン・レノ主演
プチ・ニコラ
Le Petit Nicolas
フランスで50年以上愛され続けている国民的絵本「プチ・ニコラ」
こちらはその映画版で、ニコラ少年がその仲間と繰り広げる大騒動が描かれます。
「弟が生まれたら、僕は捨てられちゃうんだ・・・」
ニコラの可愛らしい勘違いから始まる、大作戦の数々に、笑顔になること間違いなし!
古き良き60年代のフランスが舞台。
マルセルの夏
La gloire de mon père
フランスの国民的作家、マルセル・パニョルの少年時代の物語。
となりのトトロ、など、ジブリの映画にも共通する郷愁を感じるこの映画。
見るたびに心が洗われます。
家族で鑑賞するのにもぴったりですが、慌ただしい現代社会に疲れた時に、一人で見たいようなノスタルジックな作品でもあります。
子ども時代にしかなかったもの、大人になったら失われてしまう、2度と戻ってこない家族との時間や、思い出、両親への感情が丁寧に描かれている。
マルセルのお城
Le chateau de ma mère
『プロヴァンス物語 マルセルの夏』の続編。
「マルセルの夏」を鑑賞したら、絶対にこちらも見たくなることでしょう。
美しいプロヴァンスの景色を背景に、マルセルの初恋、友人との別れ、そして優しい母への想いを綴った感動作。
おすすめラブコメディ
おとなの恋の測り方
美人で仕事もできる弁護士のディアーヌ。
ある日スマホをレストランに忘れたことをきっかけに、運命的に一人の男性と知り合いに。電話で話す彼はとっても優しく、ユーモアに溢れている。
初めての待ち合わせの日、彼女の前に現れたのはもちろん素敵な男性。
けれど、”かなり”背が低い、136センチの男性だった。
おすすめポイント
背の低い男性役の俳優が、ジャン・デュジャルダン。彼は本来身長180センチ以上あるのだが、この映画の中では CGにより、身長136センチと小さくなっている。
障害者を描いた映画は、どうしても悲観的な内容になりがちだが、しかしこの映画は、常に明るく、まったく悲観的にならない主人公のおかげで、とても見やすい。
パリ、嘘つきな恋
ひょんなことから車椅子に座っていたプレイボーイのジョスラン。彼は偶然出会った美女・ジュリーの気を引くために「自分は車椅子生活だ」と嘘をつく。すると、嘘を信じた彼女から姉を紹介されて…。
勇気をもらえる映画。くだらない事で不満を言っていた自分が、恥ずかしくなるほどのパワーを、もらいました。
嘘をついたことから始まるフレンチコメディ、ですが、コメディと言っても大笑いをする類のコメディ映画ではありません。主人公の性格や、周りの人物の個性にクスリと笑い、ハラハラドキドキもし、最後には感動できる、映画としての充実度の高い作品だと思いました。
ファンタジックなフランス映画の世界
ディリリとパリの時間旅行
ベル・エポックの時代のパリ。大人向け、社会派のCGアニメ。
フランス映画をいくつか見たら、今度はフランスの著名人の名前を少し覚えてみませんか?
フランスの歴史上の著名人が、アニメで登場します。
子ども向けと思いきや、ちょっと恐ろしくなるような問題提起の要素も感じるストーリー。
パリ旅行の予習に、また旅行に行けない時には、この映画でベル・エポックのパリの美しさを堪能してみてはいかがでしょうか?
フランス文化好きな方には特におすすめ。
ぼくを探しに
ATTILA MARCEL
両親を失ったショックで言葉を話せない青年・ポール。ある日、彼はプルーストというマダムと出会い、失われた記憶を呼び戻す不思議なハーブティーを勧められる。
おすすめポイント
こういう映画、日本映画ではあまりみたことがありません。
かといって、気難しいわけでもなく、ポップなのです。
とっても不思議な世界観で、しかし非現実的という枠から何か飛び出して、胸に突き刺さってくるような映画。
遥かな町へ
Quartier Lointain
ある日、電車を乗り違えて降り立ったのは、もう長い間帰っていない故郷だった。母の墓参りをしたところで目眩に襲われ、気が付くと、1967年にタイムスリップし、記憶は中年の自分のまま、少年時代の自身へ姿が変わっていた。
生前の母、可愛い妹と飼い犬。かつての幸せな家族との生活を楽しむトマ。
しかしこの数日後には、父は失踪するはずなのだ。父の失踪以後、母は精神を病み、若くして亡くなるのだ。
トマは、過去を変えることができるのか。
祖母から聞く両親の秘密、過去の出来事とは。
おすすめポイント
“真面目に生きてきたが自分の意志じゃない。手遅れになる前に、やり直したい… ”
父の失踪の理由。なぜ、幸せな家庭、愛する家族を突然捨てたのか。
今映画の内容を今思い出すだけで、ギュッと心が締め付けられるよう。けれど、決して悲しいだけで終わらない映画。
今さら言えない小さな秘密
ラウルは妻のマドレーヌと仲睦まじく暮らしている。ところが、ラウルには誰にも言えない秘密があった。本当は、自転車に乗ることができないのだ!彼は子供の頃からずっとこの秘密を隠し続け、そのコンプレックスから自転車修理のエースに。だがある日、その秘密をどうしても隠しきれなくなる日が訪れる・・・。フランスの国民的作家にしてイラストレーター、漫画家でもあるジャン=ジャック・サンペのベストセラー「今さら言えない小さな秘密」を遂に映画化。
公式サイトへhttp://www.cetera.co.jp/imasaraienai/
おすすめ人間ドラマ
最強のふたり
(Intouchables)
主演2人の演技が世界中で絶賛された感動のヒューマン・コメディ。 実話を基に、首から下が麻痺した大富豪と、その介護人となった黒人青年が真の友情を育んでいく姿を感動的に綴る。
おすすめポイント
フランスでも大ヒットした映画。その理由は、なんと言ってもこの感動的なストーリーには、モデルがいる、実話をもとにしている、という点でしょう。
二人の俳優の演技も評価されています。
カトリーヌドヌーヴ ×ジュリエット・ビノシュ共演「真実」
ストーリー
大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ )が、自伝本「真実」を出版した。娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)が、そのパートナーと娘を連れ“出版祝い”を口実に、訪れる。自伝本を読んだリュミエールは書いてある内容は「嘘ばかり!」と憤慨。大女優の隠された本当の過去、隠し続けてきたその真実とは?
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ
偉大なるマルグリット
ひどい音痴にもかかわらず、人前で歌を披露することに喜びを見いだしたマダムの数奇な運命を描く悲喜劇。
1920年。貴族の邸宅で開かれたサロン音楽会に参加した新聞記者・ボーモンは、マルグリット夫人の歌声に唖然とする。彼女は絶望的なほど音痴だったが、本人だけが気付いておらず…。
自分が音痴であることに気付かぬまま音楽に純粋な情熱を傾けるヒロインを、カトリーヌ・フロがユーモアたっぷりに演じる。フランス国内で初登場1位となり、100万人を動員した。
屋根裏部屋のマリアたち
les femmes du 6ème étage
フランス人資産家とスペイン人メイドたちとの心の触れあいをハートウォーミングに描いたヒューマン・コメディ。お金持ちの主人公が、スペイン人のメイドたちとの交流をへて、人生を考え直してゆくストーリー。
スペイン人メイド役の女優さんたちの、素敵な笑顔、元気な会話に、明るい気分になれる映画です。スペインもフランスも好きな方には、とくにオススメです。
コーラス
世界的指揮者のピエール・モランジュは母の葬儀のため帰郷した際、子ども時代の友人ペピノから一冊の日記を手渡される。 それは彼の当時の音楽教師クレマン・マチューが遺した形見だった。
おすすめポイント
天使の歌声を持つ少年の演技力と美声が、見どころ。教師役に、その演技力に定評のあるジェラール・ジュニョ。教師が音楽の力で、子どもの心を開いてゆくという映画は世界中にいくつもありますが、その中でも間違いなくおすすめの映画です。
大人でも楽しめる恋愛映画
ボヴァリー夫人とパン屋
小説と現実を混同する男が巻き起こす、ユーモア溢れる官能ファンタジー。
マルタンはノルマンディーの緑豊かな村で、7年前パリから戻りパン屋を継いだ。彼の趣味は文学作品を読むことで、とりわけ「ボヴァリー夫人」という、この辺りを舞台に描いた物語が好きだった。
ある日、マルタンの隣に英国人夫婦が越してきた。
夫はアンティークなどの修理をし、妻はインテリア関係の仕事を担当している。
つたない英語で一生懸命「何かあればお手伝いしますよ」と親切に話しかけるマルタンは、彼らの名前を聞いて驚く。
ボヴァリーと言うのである。
マルタンの愛読書「ボヴァリー夫人」と同じ、この日からマルタンの中でジェマと小説のボヴァリーを重ね合わせていくようになる。
やがて、田舎暮らしへの不満などから若い学生と不倫仲になるジェマ、それを目にしたマルタンは・・・。
イギリスの絵本作家ポージー・シモンズが、フランスの文豪ギュスターヴ・フローベールの代表作「ボヴァリー夫人」を題材にした著書を実写化。
間奏曲はパリで
フランスの大女優、イザベル・ユペール主演。ノルマンディで農場を営む夫婦は、穏やかで平凡な毎日を送っていた。ある日、隣家のパーティーで魅力的なパリジャン・スタンと出会う。妻・ブリジットは彼を追いかけてパリへ・・・
モンテーニュ通りのカフェ
パリに実在する名門カフェを舞台に、店に集う人々の様々な人生模様を軽妙な会話劇で描き出す人情ストーリー。
おすすめポイント
よくありそうな設定ではあります。同じカフェを交差する人々の人生。軽ーい恋愛ものだと思い見始めましたが、年配の登場人物がこの映画に良い具合に深みを持たせていて、最終的には、「自分の人生を考える」というテーマに辿り着きます。恋愛、家族愛、自分の好きなモノへの愛、など、日本人にとってのフランスのイメージである”愛”もしっかり描かれていて、満足感のある映画。
いかがでしたか?新しめの映画は、DVDレンタルや動画配信されているものばかりです。遠い国のフランスですが、今の時代はお家でゆっくり鑑賞できるので、嬉しいですね。
ぜひ、フランスの最新映画を観て、泣いて笑って、過ごして下さいね!
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