フランス語の諺(ことわざ)には、日本のことわざと共通した意味合いのものがたくさんあります。教訓や人生へのアドバイスが詰まった、短いフレーズ。フランス語の諺(ことわざ)や、会話で使える言い回し、慣用句を、ジャンル別に紹介します。
もくじ
フランス語のことわざ【人生のアドバイス】
友達が人生に悩んでいる時や、自分自身を励ます時に思い出したい素敵なフランス語フレーズです。
何もしなければ何も手に入らない
On n’a rien sans rien.
オン ナ りアン ソン りアン
意味:何もしなければ何も手に入らない。
失敗を恐れてなかなか歩み出せない人に言ってあげたい一言です。
rien は「何も〜ない」という意味です。
On n’a rien =何も持っていない
sans 〜無しで
sans rien = 何も無しでは
フレーズの響きも、韻を踏むようで覚えやすく、活躍しそうなフレーズです。
待てる者には好機が訪れる
Tout vient à point à qui sait attendre
トゥー・ヴィアン・ア・ポワン・ア・キ・セ・アトンドる
意味:待つことを知っている人には、良いタイミングですべてが訪れる
attendre は、「待つ」という動詞です。
qui sait attendre = 待つ事を知っている者
今はうまくいかない事もあるけれど、じっとこの時を耐えて待てば、必ず良いチャンスが訪れる、あなたもそんな経験がありませんか?
待つ事の大切さに関する日本のことわざでは、以下の2つが同じような意味合いでしょうか。
縁と浮世は末を待て
良縁と好機とはあせってもだめで、自然に訪れるのを待つべきである。
待てば海路の日和あり
今は思うようにいかなくても、じっと待てばそのうちにチャンスがめぐってくる。 だから辛抱強く待てということ。
人生一度きり
On n’a qu’une vie
オン ナ ク ウヌ ヴィ
意味:人生は一度だけ
une vie 一つの(1回の)人生
On n’a que〜
「私たちは〜しか持っていない」
という意味のフレーズになります。
「私たちは一つの人生しか持っていない」人生一度きりだから、後悔しないように生きよ、と元気づけることわざです。
夜は答えを持ってくる
La nuit porte conseil
ラ ニュイ ポルト コンセイユ
意味:夜は答えを持ってくる
何か問題を抱えている時、「一晩寝て考えよう」または「明日はなんとかなるさ」という意味のことわざです。
La nuit (ラ ニュイ)夜
conseil (コンセイユ)助言、アドバイス
話し合いが行き詰まった時などに、さらっとこの一言を言えたらカッコ良いですよね。
フランス語のことわざ【グルメ・ワイン】
フランスらしいことわざ。諺や慣用句にも、フランス人にとってワインやグルメは欠かせません。
Mettre de l’eau dans son vin
メトレ ド ロウ ダン ソン ヴァン
訳:ワインに水を入れる
態度を和らげることを表します。野望や怒りを抑える、と言う意味でも使われます。
l’eau (ロウ)水
vin (ヴァン)ワイン
ワイン好きなフランス人との会話。ワインに関することわざやフレーズをいくつか知っていると、一目置かれるかもしれませんね。
「態度を和らげる」というシチュエーションも、ビジネスや日常で使えそうなシーンがすぐにありそうです。
フランスに不可能はない
Impossible n’est pas français
アンポッシーブル・ネ・パ・フランセ
意味:不可能は、フランス(語)ではない
フランスには不可能という文字はない、という意味です。フランスはなんでもできるのだ、という愛国心に溢れるフレーズですね。
良い食事は空腹で
Bon repas doit commencer par la faim.
ボン るパ ドア コモンセ パー ラ ファン
意味:良い食事は空腹で迎えなければならない
グルメなフランス人らしいフレーズです。食事の前に、恰幅(かっぷく)の良いムシューがこのフレーズを言っていたら、思わず大きく頷いてしまいそうです。食事を大切にするフランスならではですね。
la faim (ラ ファン)空腹
repas(るパ) 食事
フランス語のことわざ【簡単】
簡単で短い、フランス語を学習していない方にも覚えやすいことわざや慣用句です。
それが人生さ
C’est la vie
セ・ラ・ヴィー
意味:それが人生です。
自分の力ではどうにもならないことにぶつかった時、「まぁしょうがないよ」と、自分や落ち込んでいる人を慰める時などに使います。
セラヴィ〜 歌にもよく使われているので、フランス語学習者でなくとも、耳にした事がある言葉なのでは?
C’est それは〜です。
la vie 人生
フレーズの構成も、大変シンプルですよね。
明日があるさ
Demain il fera jour
ドュマン イル フェラ ジョウ
意味:陽はまた昇る、明日は明日の風が吹く、という意味合いです。
Demain (ドュマン) 明日
jour (ジョー)日、昼間
止まない雨はない
Après la pluie, le beau temps
アプレ ラ プルイ ル ボー トン
意味:雨の後は、晴れる
「雨降って地固まる」または、「やまない雨はない」のように、雨を苦難に例え、きっと大変な時の後はいいことがあるよ、と元気づけることわざです。
la pluie(ラ プルイ)雨
le beau temps (ル ボウトン)良い天気
フランス語のことわざ【お金】
フランスにも日本にも、お金にまつわる諺や教えはあります。
金は幸せではない
L’argent ne fait pas le bonheur
ラルジョン・ヌ・フェ・パ・ル・ボヌール
意味:お金=幸せではない
金がすべてじゃない、幸せはお金では買えない、という意味です。
L’argent お金
le bonheur 幸せ
fait=faire 「する」という意味の動詞です。
簡単な単語と、フランス語には欠かせない基本的な動詞で構成されているので、フランス語初心者にもわかりやすいことわざです。
不思議なことに、世界中どこへ行っても、お金に対する概念や教訓は共通しているものですね。
お金に支配されるな、支配しろ
L’argent est un bon serviteur et un mauvais maître.
訳:お金は良い家来になるが主人にしてはいけない
bon serviteur 家来
mauvais 悪い(形容詞)
maître 主人
こちらもわかりやすいフレーズの構成です。パッと聞いただけでは、具体例が思い浮かばない諺かもしれませんが、つまり「お金に支配されるな、お金をうまく使いなさい」という意味ですよね。まさに、胸に刻んでおきたい人生の教訓です。
金すなわち幸せではないが、大切なものだ
L’argent ne fait pas le bonheur, mais il y contribue.
訳:金は幸せそのものではないが、幸せに役立つものだ。
こちらは、“L’argent ne fait pas le bonheur”(お金は幸せそのものではない)という諺の後に、付け加えてよく使われる諺なんだそうです。
大切なのはお金ばかりではないのはもちろんだが、お金はあなたを助けるものですよ、という事ですね。
悪銭身につかず
Un bien mal acquis ne profite jamais.
意味:悪い方法で獲得した物は堪能できない
acquis=acquérir 「手に入れる」土地、家屋、物品などを取得するという意味の動詞。
profite=profiter 「満喫する」「利用する」という意味の動詞。
「悪銭身につかず」日本でよく使われることわざでもあります。不当な手段で手に入れた金銭は、つまらないことに使ってしまい、手元に残らない、という意味です。同じ意味、または似ている意味の諺がフランスにもある事が、とても不思議です。
フランス語のことわざ【励ます言葉】
言葉には人を励ますパワーがありますね。
世界にはすべて必要
Il faut de tout pour faire un monde
イル フォー ド トゥ ポウ フェーる アン モンド
意味:一つの世界をつくるためには、すべてが必要
色んな人がいるから、世界が成り立っている、世界には、自分の嫌いな人も含めてすべて必要なのだ、という意味のことわざです。
un monde (アン モンド)一つの世界
最後に笑うのが勝者だ
Rira bien qui rira le dernier
りら ビアン キ りら ル デるニエーる
意味:最後に笑う者がたくさん笑う
最後に勝つ者が本当の勝者だ、という意味です。何かの挑戦の途中で、自分を奮い立たせる言葉です。
Riraは、rire「笑う」という意味の動詞です。
ぜひこのフレーズを実際に口に出して言ってみて下さい。
Riraとdernierで、Rの発音が続きますので、日本人には難関のことわざです!
フランス語のことわざ【教訓】
日本にもフランスにも、似たような意味のことわざがあることが不思議です。元々どこかの国の言い伝えを、訳されたものもあるのでしょう。
急がば回れ
Hâtez-vous lentement
アッテヴ ロントモン
訳:ゆっくり急げ
lentement(ロントモン)は「ゆっくり」という意味の副詞です。
急がば回れ、は、「早く着こうと思うなら、危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することができる」という意味で、日本人にも馴染みのあることわざですよね。肝に銘じたい一言です!
良薬口に苦し
Il n’y a que la vérité qui blesse.
イル ニャ キュ ラ ヴェリテ キ ブレス
意味:痛いのは真実だけだ
真実は傷つく、聞きたくない、と言うニュアンスでは、良薬口に苦しと似ていますでしょうか。(フランス語フレーズの中には、良薬、も 口、と言う言葉も出て来ないのですが)類語では、「忠言耳に逆らう」などもあります。
la vérité(ラ ヴェリテ)真実
言うは易く行うは難し
Avec des “si” on mettrait Paris en bouteille
アヴェク デ スィ オン メトれ パリ オン ブウテイユ
意味:「もし」がつくならパリも瓶に入れられる。
口ではいくらでも大きなことが言える、とチクリと相手を刺す言葉です。仮定の話ばかりする人のことを言います。
フランスの首都パリが登場することわざ、話題の種に覚えておきたいですね。日本のことわざで言うならば、
言うは易く行うは難し(かたし)
というところでしょうか。
八方美人
L’ami de tout le monde n’est l’ami de personne
ラミ ド トュールモンド ネ ラミ ド ペルソン
訳:みんなの友達は誰の友達でもない
みんなにいい顔をする人は、本当の友達がいない、という意味です。
「八方美人」という言葉は、どこから見ても欠点のないすばらしい美人のイメージから、転じて、「誰からもよく見られたいと愛想よくふるまうこと。」や、実際にそのように振る舞う人の事を表現する言葉です。
大抵は悪い意味で使われますので、使う場面に注意が必要です。
誰にでもいい顔をする調子のいい人物には気をつけろ、と忠告する時にも使うことができます。
郷に入っては郷に従え
À Rome, fais comme les Romains
ア ろーム フェ コム レ ろーメン
意味:ローマではローマ人のようにふるまえ。
郷に入っては郷に従え、は日本でも馴染みのあることわざです。その土地やその環境に入ったならば、そこにいる人の習慣に従うことが賢い振る舞い方である、という意味のことわざです。
comme(コム) 〜のように
les Romains (ろーメン)ローマ人
Rの発音は、カタカナの「ロ」とは違い、フランス語では喉の奥を鳴らすようにして発音しますので、「ローマ」の発音に注意して、フレーズの音声を聞いてみて下さいね。
フランス語のことわざ【恋や感情】
恋をしているお友達のことを表現できそうな慣用句・ことわざです。
お腹に蝶々がいる
Avoir des papillons dans le ventre
アヴォア デ パピヨン ダン ル ヴォントる
訳:お腹の中に蝶々がいる
まるでお腹の中にチョウチョが飛んでいるような、嬉しい気持ちを表します。新しい恋人ができて、ウキウキしている友達に言ってあげたい一言ですね。
さめざめと泣く
pleurer comme une madeleine
プルれ コム ウヌ マドレーヌ
訳:マドレーヌのように泣く
意味:さめざめと泣く様子を表す時に使う言葉です。キリストの足元で泣いていたマグダラのマリアが語源となっています。
映画「アメリ」にもこのフレーズが出てきました。
pleurer(プルれ) 泣くという意味の動詞です。
一人失ったら、10人見つかる
“Un de perdu, dix de retrouvés”
アン・ドゥ・ペルドゥ、ディス・ドゥ・リトロウヴェ
意味:一人失ったら、10人見つかる
失恋した時に、「星の数ほど男(女)はいるんだから・・・」と言いたい時に使うことわざです。
フランス語のことわざ【努力・勉強】
日々の努力、コツコツ勉強、を頑張ろうと思えることわざ、名言などです。
L’école de la vie n’a point de vacances.
レコール デ ラ ヴィ ナ ポワン ド ヴァカンス
意味:人生の学校に休みはない。
一生勉強、努力をし続けよ、という教えです。
一般に学校を出て社会に出ると勉強する心を失ってしまう人が多いようだが、しかしそういう人はやはり後で伸びる人ではない。たとえ学校では目立たない存在であっても、社会に出てからコツコツと地道になすべきことをなし、学ぶべきことを学んでいる人は、後でぐっと伸びる人である。
上記は、人生は終生勉強、と生きた松下幸之助さんの言葉です。
出典:「真々庵せけんばなし」『松風(社内誌)』(昭和四十一年五月号)
怠け者は7日間「明日やる」と言う
La semaine du travailleur a sept jours, la semaine du paresseux a sept demains.
意味:働き者は7日間働く、怠け者は7日間「明日やる」と言う
少し長いフレーズなので、中上級者向けかもしれません。
La semaine(ラ セメーヌ)1週間
paresseux(パれシウ) 怠け者の、怠惰な
「勉強、明日やる〜」と言ってなかなかやらない子どもに、毅然とした態度で言い放ちたい一言です。
鍛冶屋になるには鉄を打て
C’est en forgeant qu’on devient forgeron
セ トン フォルジョン コン デュヴィアン フォルジュろン
意味:鍛冶屋になるには鉄を打て
鉄を打つ鍛冶屋を鍛冶屋にさせるのは、鉄を打つことしかない、ということです。とにかくやってみよう、習うより慣れろ、得るためにはひたすらにやり続けよ、という、背中を押すようなフレーズです。
forgeron(フォるジュロン) 鍛冶屋、鉄工場の工員
devient=devenir「〜になる」という意味の動詞です。
日々の努力
Petit à petit l’oiseau fait son nid
プチ タ プチ ロワゾー フェ ソン ニド
意味:鳥は少しずつ巣を作る
毎日コツコツ、です。少しずつ続けて、何かを成し遂げよう、ということわざです。日々の努力
Petit à petit(プチタプチ)少しずつ、という意味です。
少しずつ勉強する、少しずつ食べる、など、日常会話の中で大変よく使う言葉です。
oiseau(オワゾー)鳥
nid(ニド)巣
鳥が巣を作るイメージが、コツコツと何かを成し遂げるために努力をする地道な姿と重なります。
フランス語【会話の短い表現】
会話の中でフランス人がよく使う、短い表現・慣用句です。
元気がある
Avoir la pêche
アヴォア ラ ペシュ
訳:桃を持っている
元気がある人を表現する時や、自分が元気だよ、と言いたい時に、「桃を持っているよ」と表現します。
J’ai la pêche!(ジェ ラ ペシュ)
元気だよ!
天使が通る
Un ange passe
アン ナンジュ パス
訳:天使が通る
会話の中で、不意に誰も話さない瞬間、急にシーンとした時に、天使が通った!と言います。
おしゃべり好きなフランス人ですから、家族の食事のシーンや、友達同士でワイワイと話している時に、誰もしゃべらなくなる瞬間は稀ですよね。
そんな場面にもし出くわしたら、このフレーズを使える貴重なチャンスですよ!
いかがでしたか?フランス語のことわざや、短い慣用句を会話表現の一つとして覚えていると、会話のセンスがグッと上がりますね。日本人がフランス語のことわざを知っていると、フランス人もびっくりするかもしれませんね。
ドゥースフランスは、東京の新宿からも通いやすい、東中野にある小さなフランス語教室です。オンラインのグループレッスンや、オンライン会話サロンもありますよ!
自宅でもフランスを堪能したい!
フランス人に愛される映画は、意外と・・・?日本には輸入されていない映画も含めて、フランス人好みの映画をランキングで紹介しています。
カトリーヌ・ドヌーヴ×是枝監督の「真実」観ましたか??新しめのフランス映画をまとめて紹介↓
フランス語を自宅でコツコツ勉強!mentで終わる副詞特集・・・↓
ご予約やお問い合わせは、お問い合わせフォームやラインアカウントのメッセージなどで承ります。
ラインの配信では、クラスの開催日を毎月お知らせしています。